プリゴジンの混沌からの秩序が関係する学問
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非平衡熱力学
イリヤ・プリゴジンは、ベルギーの物理化学者であり、1977年にノーベル化学賞を受賞しました。彼の主要な業績の一つに、非平衡熱力学、特に散逸構造の研究があります。プリゴジンは、従来の平衡熱力学では説明できない、生命現象や複雑系に見られるような秩序の自発的な発生を、非平衡状態における不可逆過程と結びつけました。
彼の提唱した「散逸構造」は、エネルギーや物質の流れが存在する非平衡な系において、自己組織化によって秩序が形成される現象を説明する概念です。散逸構造は、エネルギーの流れが系に秩序を作り出すことから、「秩序からの秩序」とも呼ばれます。
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複雑系科学
プリゴジンの研究は、複雑系科学の発展にも大きく貢献しました。複雑系とは、多数の要素が相互作用することで、個々の要素の振る舞いからは予測できない複雑な挙動を示すシステムのことです。
プリゴジンの「混沌からの秩序」は、複雑系において秩序がどのようにして創発するかを理解するための重要な概念を提供しました。彼の研究は、生命システム、生態系、社会システムなど、様々な複雑系における秩序と複雑性の創発を理解するための新たな視点を提供しました。