## プラトンの饗宴のメカニズム
###
設定
「饗宴」は、アガトンの家で開催された男たちの宴会という設定で、対話形式をとっています。この宴会はアガトーンが悲劇詩人コンテストで優勝したことを祝うもので、参加者たちは順番に「エロス(愛)」をテーマにしたスピーチを行います。
###
登場人物とスピーチ
主な登場人物と、それぞれのスピーチの内容は以下の通りです。
* **パイドロス:** 愛は最も古い神であり、人間に勇気や名誉を追求させることで、善をもたらす存在であると主張します。
* **パウサニアス:** 愛には天上的な愛と地上的な愛の二種類があり、前者は高潔な精神を育むものであり、後者は肉欲的なものであると区別します。
* **エリクシマコス:** 愛は調和と秩序をもたらす力であり、医学や音楽、天体など、あらゆる分野に共通する原理であると論じます。
* **アリストパネス:** かつて人間は球体のような完全な姿をしていましたが、神々に恐れられ二つに引き裂かれました。愛は、その失われた半分を求める切望であると語ります。
* **アガトーン:** 愛は最も美しく、最も若い神であり、あらゆる悪徳から離れた存在であると、詩的な表現で賛美します。
* **ソクラテス:** ディオティマという女性から聞いた話として、愛は「永遠なるものの所有」への希求であり、肉体的な愛から精神的な愛へと昇華していく過程であると説明します。
* **アルキビアデス:** 酔った状態で登場し、ソクラテスへの個人的な愛を告白します。ソクラテスの魅力を、内面的な美しさと知性に求めます。
###
対話と反駁
登場人物たちは、ただスピーチを行うだけでなく、互いの意見に質問したり、反論したりします。特に、ソクラテスは巧みな問答によって、先行するスピーチの問題点を指摘し、より深い考察へと導いていきます。
###
枠物語
「饗宴」は、アポロドロスという人物が、友人に頼まれて、宴会での出来事を語るという枠物語の形式をとっています。アポロドロス自身は宴会には参加しておらず、友人から話を聞いたとされています。この枠物語によって、物語に多層的な構造が生まれています。
これらの要素が組み合わさることで、「饗宴」は単なる愛の賛歌ではなく、愛の本質、美、善、魂といった哲学的なテーマを深く掘り下げた作品となっています。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。