## プラトンの国家の選択
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ソクラテスの問いかけと選択肢
「国家」の中で、プラトンはソクラテスを語り手として、正義とは何か、そして正義はそれ自体に価値があるのかという問題を探求します。この探求の過程で、ソクラテスは、人間が選ぶべき2つの選択肢を提示します。
1. **不正を行い、それを隠蔽し続けることで、不正によって利益を得続ける人生**
2. **不正によって不利益を被っても、正義を貫く人生**
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グルコンとアディマンストスの反論
ソクラテスの対話相手である、グルコンとアディマンストスは、多くの人々が実際には前者の選択肢を選ぶだろうと反論します。彼らは、不正を行いながらも、世間から善良な人物として認められる方が、実際にはるかに幸福な人生を送れると主張します。
グルコンは、不正はそれ自体に快楽をもたらすものであり、また富や名声といった外的な報酬も得られるため、人々は不正に惹かれるのだと主張します。さらに、不正は罰せられるリスクを伴いますが、人々はそのリスクを最小限に抑えるために、巧妙に不正を隠蔽しようとすると指摘します。
アディマンストスもグルコンの意見に同意し、さらに、正義はしばしば困難を伴い、自己犠牲を強いるものであると主張します。一方、不正を行う者は、他人を犠牲にすることで、自分自身の利益を追求することができます。
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理想国家の構築と正義の探求
ソクラテスは、グルコンとアディマンストスの反論に対して、正義が個人にも国家にも、それ自体に価値があることを証明しようと試みます。
彼は、まず理想的な国家を構想し、その中で正義がどのように実現されるのかを探求します。そして、個人における正義は、この理想国家における正義を縮小したものであると主張します。
ソクラテスは、理想国家は、知恵、勇気、節制、正義という四つの徳によって特徴付けられると説明します。そして、これらの徳が調和して初めて、国家は真の意味で正義を実現できると主張します。
**注記:** この解説では、ソクラテスが最終的にどちらの選択肢を支持するのか、また彼がどのように正義を擁護するのかについては触れていません。これは、読者自身が「国家」を読み進める中で、それぞれの解釈に基づいて考えていくべき問題だからです。