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プラトンの国家と人間

## プラトンの国家と人間

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国家の起源と正義

プラトンの『国家』は、正義(dikaiosunē)の本質についての対話篇です。ソクラテスを語り手として、様々な立場の人々と議論を交わしながら、個人と国家における正義のあり方を探求していきます。

国家の起源について、ソクラテスは、人間は自給自足ができないために、様々な欲求を満たすために他者と協力する必要性から共同体を形成したと述べています。国家は、食料、住居、衣服といった基本的なニーズを満たすために、農民、職人、商人など、異なる能力を持つ人々が専門化し、互いに協力することで成立すると考えます。

そして、このような専門化と分業が進展するにつれて、国家はより複雑化し、富と財産をめぐる争いが生じるようになります。そこで、国家内外の紛争を防ぎ、秩序を維持するために、戦士階級が必要とされるようになると説明します。

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魂の三部分と国家の三階級

プラトンは、個人の魂を、理性、気概、欲望の三つの部分から成り立つものと考えます。理性は、知識や真理を愛し、正しい判断を下すことを求める部分です。気概は、名誉や勝利を愛し、困難に立ち向かう勇気を与える部分です。欲望は、食欲や性欲など、身体的な快楽を求める部分です。

そして、国家もまた、個人の魂と同様に、三つの階級から構成されると考えます。理性に対応するのは、国家を統治する役割を担う哲学者王です。気概に対応するのは、国家を防衛する戦士です。そして、欲望に対応するのは、生産や商業に従事する民衆です。

プラトンは、個人の魂において、理性、気概、欲望の三つの部分が調和している状態が、正義であると考えます。同様に、国家においても、それぞれの階級が自らの役割を果たし、互いに調和している状態が、正義であると考えます。

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理想の国家と哲学者王

プラトンは、上記の考えに基づき、理想の国家として、哲学者王が統治する国家を構想します。哲学者王とは、真の知識であるイデアを洞察し、理性に基づいて統治を行うことができる哲学者です。プラトンは、イデアとは、この世のあらゆるものの原型であり、永遠不変の真実であると考えました。

哲学者王は、私有財産や家族を持つことを許されず、共同生活を送りながら、国家と人々の幸福のために尽くします。また、戦士階級と民衆は、哲学者王の統治に従い、それぞれの役割を果たします。

プラトンは、このような理想の国家においてのみ、真の正義が実現されると考えました。しかし、彼は、理想の国家が実現することは非常に難しいことも認めています。

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