## プラトンのメノンの感性
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メノンにおける感性の扱い
プラトンの対話篇「メノン」において、感性(感覚)は直接的に主要なテーマとして扱われていません。この対話篇は、徳の本質、その獲得可能性、そして知識と真なる信念の関係を探求することに重点が置かれています。しかし、メノンにおけるいくつかの箇所において、感性は知識獲得におけるその役割について考察されています。
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感性と想起説
「メノン」の中心的な主張の一つは、魂は不滅であり、すべてのことを既に知っているという想起説です。ソケラテスは、幾何学の問題を解く奴隷少年の例を用いて、適切な質問によって、魂の中に眠っている知識を「想起」させることができると主張します。
この想起説において、感性は直接的には知識の源泉とはみなされていません。真の知識は、魂が物質世界に生を受ける以前から持っていた永遠のイデアの世界に由来するとされます。しかし、感性は想起のプロセスにおいて、ある役割を果たすと考えられています。
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感性による想起のきっかけ
感性は、魂に眠っている知識を呼び起こす「きっかけ」となり得ます。美しいものを見たとき、過去の生の記憶が呼び覚まされ、美のイデアを想起する、といった具合です。
しかし、感性自体は真の知識を提供するものではありません。感性が捉えることができるのは、あくまで変化しやすく、不完全な物質世界のみです。真の知識は、永遠不変のイデアについてのものであり、それは理性によってのみ把握することができます。
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感性の限界
ソケラテスは、感性が真の知識に導くとは考えていません。彼は、感性が提供する情報はしばしば曖昧で、信頼性に欠けると指摘します。また、感性は個人の主観的な経験に左右されるため、客観的な知識の基礎となることはできません。
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結論
「メノン」は、感性を知識獲得の主要な手段とはみなしていません。真の知識は、理性によるイデアの把握によってのみ得られると考えられています。しかし、感性は想起のプロセスにおいて、ある役割を果たす可能性は示唆されています。感性が提供する情報は不完全で信頼性に欠けるものの、魂に眠っている知識を呼び起こすきっかけとなり得るのです。