## プラトンのメノンの仕組み
メノンとは
「メノン」は、古代ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた対話篇です。この対話篇は、ソクラテスと、テッサリアの若く裕福な貴族メノンとの間の議論を描いています。議論の主題は「徳は教えられるか」という問題です。
対話篇の構造
メノンは大きく分けて以下の3つの部分から構成されています。
1. **徳の定義をめぐる議論:** メノンはソクラテスに対し、徳とは何かを問います。ソクラテスは、具体的な例を挙げながら、一般的な定義を見出そうと試みますが、メノンは満足のいく答えを出せません。この過程で、ソクラテスは「問答法」と呼ばれる独自の探求方法を用います。
2. **知識の想起説:** 徳は教えられるかという問題について議論する中で、ソクラテスは「人は生まれながらにしてすべての知識を持っている」という「想起説」を展開します。彼は、幾何学の問題を用いて、少年奴隷が潜在的に持っている知識を引き出す様子を見せます。
3. **徳は知識であるのか?:** 想起説に基づくと、徳もまた知識の一種として、想起可能なものとなります。しかし、ソクラテスは、徳を教えられる人が存在しないことを指摘し、議論は結論に至らないまま終わります。
ソクラテスの問答法
ソクラテスは、対話の中で「問答法」と呼ばれる手法を用います。これは、相手への質問を通して、相手の無知を自覚させ、真の知識へと導く方法です。ソクラテスは自らを「無知であることを知っている者」と位置づけ、相手から答えを引き出すことに徹します。
メノンのパラドックス
「徳は教えられるか」という問いは、「メノンのパラドックス」と呼ばれる難問を生み出します。すなわち、「もし私たちが徳を知っているなら、それを探求する必要はなく、知らないなら、探求すべき対象を見つけることができない」というジレンマです。ソクラテスは、想起説を用いることで、このパラドックスを解決しようと試みます。
未解決な問題
メノンは、多くの未解決な問題を残したまま終わります。徳の定義、想起説の妥当性、徳は教えられるのか、といった問いに対する明確な答えは示されません。しかし、これらの問いを提起することで、読者に倫理や知識に関する根本的な問題を考えさせる、哲学的な対話篇となっています。
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