## プラトンのティマイオスの評価
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宇宙論
「ティマイオス」は、古代ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた対話篇であり、その内容は宇宙の創造、自然世界の構造、人間の起源など、多岐にわたります。特に、宇宙の起源と構造に関する記述は、後の西洋思想に大きな影響を与えました。
ティマイオスは、宇宙が永遠に存在するのではなく、デミウルゴスと呼ばれる神的な創造主によって創造されたと主張します。デミウルゴスは、先在する混沌とした物質を秩序づけ、永遠で不変のイデアを模倣することで、美しく調和のとれた宇宙を創造しました。
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自然哲学
「ティマイオス」では、自然界を構成する四大元素(火、空気、水、土)が導入され、それぞれの元素は幾何学的な立体(正四面体、正八面体、正二十面体、正六面体)によって構成されるとされます。また、これらの元素は相互に変換可能であり、宇宙の秩序はこれらの元素の調和と均衡によって保たれていると説明されます。
人体についても、魂が肉体を支配するというプラトンの二元論的な思想に基づいて説明され、健康は体内の諸要素の調和によって維持されると考えられました。
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影響と評価
「ティマイオス」は、古代から中世、ルネサンス期に至るまで、西洋思想に多大な影響を与えました。特に、宇宙の創造と構造に関する記述は、キリスト教神学に取り入れられ、宇宙の創造主としての神の概念を補強する根拠として利用されました。
また、自然哲学における四大元素説や幾何学的な世界観は、中世の錬金術や占星術にも影響を与え、近代科学の成立以前の西洋自然観を形作る上で重要な役割を果たしました。