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プラトンのティマイオスの批評

## プラトンのティマイオスの批評

ティマイオスにおける宇宙論

『ティマイオス』は、プラトンが晩年に書いたとされる対話篇であり、宇宙の創造、自然世界の構成、そして人間の起源について論じています。この作品で展開される宇宙論は、古代ギリシャの思想に多大な影響を与えましたが、同時に様々な批判も呼び起こしてきました。

創造説に対する批判

ティマイオスでは、宇宙はデミウルゴスと呼ばれる神的な創造主によって、永遠のイデアを模倣して作られたとされます。この創造説は、キリスト教神学に取り入れられましたが、一方で、アリストテレスをはじめとする多くの哲学者から批判を受けました。アリストテレスは、宇宙は永遠に存在し、始まりも終わりもないという立場を取り、デミウルゴスによる創造という概念を否定しました。

数学的構成と経験的観察の乖離

ティマイオスでは、世界は幾何学的図形や数学的比率に基づいて構成されていると説明されます。例えば、四大元素はそれぞれ正四面体、正八面体、正二十面体、正六面体という正多面体と対応付けられています。しかし、このような数学的な説明は、当時の経験的な観察とは必ずしも一致しておらず、その抽象性の高さゆえに批判の対象となりました。

プラトンの他の著作との整合性

ティマイオスで展開される宇宙論は、プラトンの他の著作、例えば『国家』や『パイドン』で示唆される思想とは、部分的に矛盾しているように見える点も指摘されています。例えば、『国家』ではイデアは不変かつ永遠の存在として描かれているのに対し、『ティマイオス』ではデミウルゴスによって模倣される対象として扱われています。このような矛盾点については、解釈上の問題として現在も議論が続いています。

これらの批判にもかかわらず、『ティマイオス』は西洋思想史において極めて重要な位置を占める作品です。古代ギリシャの自然哲学から中世のキリスト教神学、そして近代科学の誕生に至るまで、多大な影響を与え続けてきました。

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