プラトンのティマイオスの原点
ティマイオスの位置づけ
プラトンの後期対話篇の一つであり、ソクラテスがアテナイの理想国家について語った「国家」と、その理想国家が現実の侵略者に対抗する様を描いたとされる「クリティアス」と密接に関係している。
成立年代
正確な執筆年代は不明だが、「国家」との関連性や文体、内容の分析から、プラトンの晩年の作品であると考えられている。一般的には紀元前360年頃に書かれたと推測されている。
対話篇の構成
ティマイオス、ソクラテス、クリティアス、ヘルモクラテスの四人の登場人物による対話形式で構成されている。
主にティマイオスが宇宙の創造、自然哲学、人体について独自の説を展開する。
内容
* **宇宙論**: ティマイオスは、宇宙は永遠に存在するものではなく、デミウルゴスと呼ばれる創造神によって秩序と美に基づいて創造されたとする。
* **自然哲学**: 四大元素(火、空気、水、土)の概念を用い、宇宙の構成要素や自然現象を説明しようとした。
* **人体論**: 人体を小宇宙と捉え、宇宙の構造と対応させて説明する。 魂の三分説(理性、気概、欲望)を展開し、それぞれの魂が身体のどの部分に位置するかを論じている。
影響
* **古代ギリシャ哲学**: アリストテレスをはじめとする後世の哲学者たちに多大な影響を与えた。
* **キリスト教神学**: 宇宙の創造や神の概念は、初期キリスト教思想に影響を与えた。
* **ルネサンス**: プラトン主義の復興とともに再評価され、コペルニクスやガリレオといった科学者にも影響を与えた。
現代における意義
* **哲学史**: プラトンの思想体系を理解する上で重要な資料である。
* **科学史**: 古代ギリシャにおける自然観や宇宙観を知る上で貴重な文献である。
* **思想史**: 西洋思想における創造論や人間観の形成に影響を与えた重要な作品である。