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プラトンのティマイオスと人間

## プラトンのティマイオスと人間

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ティマイオスにおける宇宙創造と人間の位置づけ

プラトンの対話篇『ティマイオス』は、宇宙の起源と構造、そして人間を含む生物の創造について論じた作品です。ティマイオスは、宇宙が永遠に存在するのではなく、デミウルゴスと呼ばれる創造主によって、永遠で不変なるイデアを模倣して造られたことを説きます。

宇宙は、魂と身体からなる球体として創造され、天球はその周りを回転します。人間は、神々に準えて創造された存在であり、魂はデミウルゴスによって、星々の運行を司る神々によって肉体を与えられました。

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人間の魂と肉体の関係

人間の魂は、不滅で、理性、気概、欲望の三つの部分から成り立ちます。理性は、永遠なるイデアを認識する能力を持ち、気概は、理性に従って行動する勇気を、欲望は、身体的な快楽などを求める本能を司ります。

一方、肉体は、魂の入れ物であり、感覚器官を通して外界と関わる役割を担います。しかし、肉体は、魂に比べて劣ったものであり、病気や老化といった様々な苦しみをもたらす原因となります。

ティマイオスでは、人間の魂は本来、天上界に属するものであり、肉体の中に閉じ込められた状態を「転落」と見なしています。そして、理性に従って正しく生きることで、魂は肉体からの解放、すなわち天上界への回帰を目指すべきだと説いています。

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人間の倫理と徳

『ティマイオス』は、宇宙論的な視点から、人間の倫理や徳についても論じています。人間は、理性に従って生きることによって、魂の秩序と調和を保ち、徳を体現することが求められます。

理性は、魂の中で最も高貴な部分であり、永遠なるイデアを認識することで、真の知識と善を理解することができます。気概は、理性の判断に従って、欲望を抑え、正しい行動をとるための力を与えます。

欲望は、節度を守り、理性に従うことで、人間生活に必要な役割を果たします。しかし、欲望が理性に打ち勝つ時、魂の秩序は乱れ、悪徳に陥るとされます。

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ティマイオスにおける人間理解の影響

『ティマイオス』における人間理解は、その後の西洋思想に多大な影響を与えました。特に、魂と肉体の二元論、理性に基づく倫理観、天上界への回帰といった思想は、キリスト教神学にも大きな影響を与え、中世ヨーロッパにおける人間観の形成に重要な役割を果たしました。

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