## プラトンのソクラテスの弁明の秘密
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ソクラテスの弁明は本当に弁明だったのか?
「ソクラテスの弁明」は、ソクラテスがアテネの法廷で自身にかけられた告発内容を反駁する様子を描写した作品です。しかし、作品を通してソクラテスは自身を積極的に弁護するような態度は見せず、むしろ挑発的な言動によって陪審員の反感を買っているようにすら見えます。
ソクラテスは、自身は無知であることを自覚している唯一の人間であり、それゆえ神託によって「最も賢い者」と認められたと主張します。そして、彼は「無知の知」の重要性を説きながら、従来の価値観や権威を相対化するような問答を展開していきます。
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ソクラテスの真意はどこにあったのか?
ソクラテスは、自身の言動が死刑宣告に繋がる可能性を認識していました。にもかかわらず、彼は自らの哲学的信念を曲げることなく、むしろそれを強調するかのように振る舞いました。
このことから、「ソクラテスの弁明」は単なる法廷弁論ではなく、ソクラテスが自らの哲学を世に問うための、そして自らの死をもってその重要性を示すための舞台装置だったのではないかという解釈も生まれてきます。
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「ソクラテスの弁明」はプラトンの創作なのか?
「ソクラテスの弁明」は、ソクラテスの弟子であったプラトンによって著されました。しかし、ソクラテス自身は著作を残しておらず、プラトンがどの程度史実に忠実にソクラテスの言葉を再現しているのかは定かではありません。
そのため、「ソクラテスの弁明」は、プラトンが自らの哲学を世に広めるために、師であるソクラテスの裁判を利用した創作なのではないかという見方も存在します。