## プラトンのゴルギアスを読む前に
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ソクラテス式対話篇とは何かを知る
ゴルギアスは、**ソクラテス式対話篇**と呼ばれる形式で書かれています。これは、プラトンが師ソクラテスの思想を伝えるために用いた独特な方法です。ソクラテスは、自らの無知を自覚し、人々に問答をしかけることで、彼らの無知を暴き、真の知識へと導こうとしました。
ゴルギアスにおいても、ソクラテスは巧みな話術で相手を論破していく様子が描かれています。しかし、重要なのは、ソクラテスの主張そのものよりも、彼がどのように考え、議論を展開していくかという**思考のプロセス**にあります。読者は、ソクラテスや登場人物たちと共に、自らの思考を深め、倫理や政治、人生といった重要なテーマについて考えさせられることになるでしょう。
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登場人物を押さえる
ゴルギアスには、ソクラテスの他に、以下のような主要な登場人物が登場します。
* **ゴルギアス:** 当時を代表する弁論術の達人。ソクラテスとの対話を通して、弁論術の本質や、正義と不正、快楽と幸福といった問題について議論を交わします。
* **ポロス:** ゴルギアスの弟子で、血気盛んな若者。ソクラテスの論法に反論を試みますが、次第に窮地に追い込まれていきます。
* **カリクレス:** 現実政治に精通した、アテネの有力者。力こそが正義であるという立場から、ソクラテスの主張を批判します。
これらの登場人物たちは、それぞれ異なる立場から、当時のアテネ社会における重要な問題提起を行います。彼らの主張や、ソクラテスとのやり取りを通して、当時の社会背景や思想的潮流を理解することができます。
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問われるテーマについて考えてみる
ゴルギアスでは、弁論術を題材に、**正義と不正、善と悪、快楽と幸福**といった普遍的なテーマが議論されます。
* 弁論術は、人を説得するための技術ですが、それは真実に基づいているべきなのでしょうか?
* 力を持つものが正義なのでしょうか?
* 真の幸福とは、どのような状態を指すのでしょうか?
これらの問いは、現代社会においても重要な意味を持ちます。あらかじめこれらのテーマについて自分なりの考えをまとめておくことで、より深く作品を読み解くことができるでしょう。
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古代ギリシャの社会背景を理解する
ゴルギアスが書かれた時代は、アテネが民主制を採用し、弁論術が政治や裁判において重要な役割を果たしていた時代です。弁論術は、人を説得し、自分の主張を通すための強力な武器でしたが、同時に、詭弁や欺瞞に利用される危険性も孕んでいました。
ゴルギアスを読む際には、当時のアテネ社会における弁論術の役割や、プラトンが抱いていた問題意識を理解することが重要です。