## プラトンのゴルギアスを読む
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ソクラテス的対話篇の傑作
「ゴルギアス」は、古代ギリシャの哲学者プラトンが書いた対話篇であり、紀元前4世紀頃に書かれたとされています。登場人物は、ソクラテス、ゴルギアス、ポロス、カリクレス、そして名前の挙がっていない人物です。
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修辞学への批判と正義の探求
この作品では、ソクラテスが、当時のギリシャ社会で流行していた修辞学を痛烈に批判します。ゴルギアスは、巧みな話術で人々を魅了する、当代きっての修辞家として描かれています。ソクラテスは、ゴルギアスやその弟子であるポロスとの対話を通じて、修辞学の本質に迫り、それが真の知識や善に基づかない、単なる言葉の技巧に過ぎないと主張します。
議論は次第に、正義の本質、快楽と苦痛、魂のあり方など、より根源的な問題へと発展していきます。ソクラテスは、不正を行うことは、不正を受けることよりも遥かに悪いことであると主張し、真の幸福は、魂の調和と正義の実践によってのみもたらされると説きます。
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多彩な登場人物と白熱する議論
「ゴルギアス」は、ソクラテスと他の登場人物たちとの白熱した議論を通して、読者を哲学的な思考へと誘います。ゴルギアスは当初、自信に満ちた態度でソクラテスと対峙しますが、議論が進むにつれて、自身の主張の矛盾を突かれ、次第に言葉を失っていきます。ポロスは、若さゆえの情熱と勢いでソクラテスに反論しますが、論理的な思考力においては及ばず、最終的にはソクラテスの鋭い指摘に屈することになります。
カリクレスは、従来の道徳観を否定し、力こそが正義であると主張する、ニヒリスティックな人物として描かれています。ソクラテスは、カリクレスの主張を論理的に退け、真の強さは、欲望に支配されるのではなく、理性によって自らを統治することにあると説きます。
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現代社会への示唆
「ゴルギアス」は、単なる古代の哲学書ではなく、現代社会にも通じる普遍的なテーマを扱っています。言葉の力と危険性、正義と不正の対立、真の幸福とは何かといった問題は、現代においても重要な意味を持ち続けています。