## プラトンのゴルギアスの発想
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弁論術と修辞学に対する批判
『ゴルギアス』は、プラトンが対話篇という形式で著した作品の一つであり、ソクラテスと、当時の高名な弁論家ゴルギアス、そしてその弟子ポロスやカリクレスとの対話を描いています。
この作品においてプラトンは、ソクラテスの口を通して、当時のアテネ社会で横行していた弁論術や修辞学を痛烈に批判しています。
プラトンは、弁論術や修辞学は、それが真実を追求することを目的とせず、大衆を巧みに操り、自己の利益や快楽のみを追求するための手段として用いられることに警鐘を鳴らします。
ソクラテスは、ゴルギアスやポロス、カリクレスといった弁論家たちとの対話を通して、真の善や正義とは何かを問い詰め、彼らが追い求める快楽や名誉といった価値観の危うさを暴き出していきます。
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真の技術と偽りの技術
プラトンは、『ゴルギアス』の中で、真の技術と偽りの技術という対比を用いて、弁論術に対する批判を展開します。
プラトンにとって、真の技術とは、医学や体育術のように、対象をより良い状態へと導くことを目的とするものです。
一方で、弁論術や料理術などは、対象を喜ばせたり、快楽を与えたりすることを目的とするだけであり、真に良い状態へと導くものではありません。
ソクラテスは、弁論術を料理術や化粧術と同じ「迎合」の技術に分類し、真の技術である政治術と対比することで、その危険性を浮き彫りにしています。
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快楽と善の対立
『ゴルギアス』における重要なテーマの一つに、快楽と善の対立があります。
当時のアテネ社会では、快楽を人生の目的とする hedonism (快楽主義) が蔓延していました。
ソクラテスは、真の幸福は、快楽ではなく、正義や節制といった徳の実践によってのみもたらされると主張します。
彼は、たとえ一時的に不快な思いをすることになったとしても、不正を働くよりも、正義を守ることを選ぶべきだと説きます。