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プラトンのゴルギアスの対称性

プラトンのゴルギアスの対称性

ソクラテスと対話相手の対応関係

「ゴルギアス」におけるソクラテスの主な対話相手は、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの3人です。
彼らは弁論術に対する立場、道徳観、そしてソクラテスとの議論における役割において、ある種の対称性を示しています。

* **ゴルギアス**: 弁論術の師であり、当初は自信に満ちた様子で自分の技術を誇示します。しかし、ソクラテスの追及によって、自身の無知を露呈し、議論の後半では沈黙を保ちます。
* **ポロス**: ゴルギアスの弟子で、師の教えに心酔する若者です。彼は感情的で衝動的な性格で、ソクラテスに反論しようと躍起になりますが、論理的な議論では太刀打ちできません。
* **カリクレス**: 現実政治家であり、力こそが正義だとするニヒリスティックな道徳観の持ち主です。彼はソクラテスの理想主義的な議論を嘲笑しますが、最終的には彼自身の矛盾を突かれ、議論から逃げるように退場します。

このように、3人の対話相手は、弁論術に対する段階的な変化、ソクラテスへの態度、そして議論における役割の違いによって、一種の対称性を形成しています。
ゴルギアスは弁論術の専門家としての自信から無知へと転落し、ポロスは師への盲信から無力感へと変化し、カリクレスは現実的な力への固執から議論からの逃避へと至ります。

議論の構造における対称性

「ゴルギアス」は、弁論術に対する批判から始まり、真の幸福と徳の探求へと展開していく過程において、議論の構造自体にも対称性が見られます。

* **前半部分**: ソクラテスはゴルギアスとポロスを相手に、弁論術の本質、快楽と善の関係、不正行為の罰などについて議論します。
弁論術は真実ではなく、聴衆を説得することのみを目的とした技術であり、真の知識や徳を欠いたものであると批判します。
* **後半部分**: カリクレスが登場し、力こそが正義であるという主張を展開します。
ソクラテスは彼に対して、真の幸福は快楽ではなく、節制と正義によって得られると反論し、魂のケアの重要性を説きます。

前半では、弁論術に対する批判を通して、真の知識や徳とは何かを探求し、後半では、力と正義の対比を通して、真の幸福と魂のケアの重要性を強調しています。
このように、「ゴルギアス」は前半と後半で、それぞれ異なるテーマを扱いながらも、対照的な構造を通して、共通の主題である「真の幸福とは何か」を探求しています。

対話篇全体のテーマ

「ゴルギアス」は、弁論術に対する批判を通して、真の幸福と徳、そして魂のケアの重要性を問う対話篇です。
ソクラテスは、対話を通して、目先の利益や快楽を追求するのではなく、正義と魂の向上を目指すべきだと訴えます。

対話篇全体を通して、ソクラテスは、真の幸福は、外的な要因に左右されることなく、内面的な徳の実践によってのみ達成されると主張します。
弁論術のような、外面的な技術や力によって得られる成功は、一時的なものに過ぎず、真の幸福には繋がらないと説いています。

これらの要素が、「ゴルギアス」における対称性の一端を示しています。

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