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プラトンのゴルギアスと時間

## プラトンのゴルギアスと時間

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時間表現の分析

「ゴルギアス」の中では、具体的な時間の流れや、時間そのものについての体系的な議論は展開されていません。しかし、登場人物たちの発言や、対話全体の構成から、時間に関するいくつかの示唆を読み取ることができます。

例えば、ソクラテスとゴルギアスの最初の議論では、修辞学の目的について論じられます。ゴルギアスは、修辞学によって人々を「説得」し、現在の行動を変化させることができると主張します。これは、修辞学が、少なくとも短期的な意味では、人間の行動や選択に影響を与え、ある種の「変化」をもたらす可能性を示唆しています。

また、対話の中で、過去の人物や出来事(例えば、神話や歴史上の人物)が頻繁に言及されます。これは、登場人物たちが、現在の議論を理解するために、過去の出来事や思想を参照する必要があることを示唆しています。

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時間と永遠

「ゴルギアス」は、正義、善、魂といった、時間によって変化しない「永遠」の価値観を重視する作品です。ソクラテスは、一時的な快楽や成功よりも、永遠に続く魂の幸福を追求すべきだと主張します。

この主張は、時間に対する古代ギリシャ哲学特有の見方を反映している可能性があります。古代ギリシャ哲学では、感覚的に経験できる変化する世界(生成消滅の世界)と、その背後にある永遠不変の実在(イデアの世界)を区別する考え方がありました。

「ゴルギアス」においても、ソクラテスの主張は、変化し続ける現世の出来事よりも、永遠に続く真実や正義といった価値観に目を向けるべきだということを示唆しているのかもしれません。

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時間と修辞学

「ゴルギアス」では、修辞学が、人々の意見や行動を「その場」で変化させる力を持つとされています。これは、修辞学が時間と密接に関係していることを示唆しています。

しかし、ソクラテスは、修辞学がもたらす変化は一時的なものに過ぎず、真の知識や幸福をもたらすものではないと批判します。ソクラテスにとって、真の知識とは、時間によって変化しない永遠の真理を理解することでした。

このように、「ゴルギアス」における時間に関する考察は、修辞学の効力や限界、そして真の知識の探求といった、より大きなテーマと深く結びついています。

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