## プラトンのゴルギアスからの学び
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修辞学に対する批判
「ゴルギアス」の中で、プラトンはソクラテスを通して、当時のアテネで流行していた修辞学を痛烈に批判しています。ソクラテスは、修辞学は真の知識を持たずに人々を説得するための技術に過ぎず、真実を追求することよりも、ただ単に聴衆を喜ばせることを目的としていると主張します。
ソクラテスは、修辞家は医者や船乗りといった専門家とは異なり、正義や善といった重要な問題について真の知識を持っていないと指摘します。修辞家は、専門知識に基づいてではなく、聴衆の無知につけ込んで彼らを操ることで、あたかも専門家であるかのように振る舞うことができるのです。
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快楽と善の区別
ソクラテスは、多くの人が快楽と善を混同していると批判します。彼は、快楽は一時的な感覚的な満足に過ぎず、真の善とは異なるものであると主張します。真の善とは、魂の健康、すなわち、正義や節制といった徳を追求することによってのみ達成されるものだとソクラテスは考えます。
ソクラテスは、不正義を犯すことによって一時的な快楽を得ることができたとしても、それは長期的に見れば魂を蝕み、真の幸福を損なうことになると警告します。逆に、たとえ苦痛を伴うとしても、正義に従って生きることは、魂の健康をもたらし、真の幸福へとつながるのです。
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不正を行うことよりも、不正を受ける方が良い
ソクラテスは、不正を行うことよりも、不正を受ける方が良いという、当時の常識では考えられないような主張を展開します。彼は、不正を行うことは魂を腐敗させる毒のようなものであり、不正を受けることは身体的な傷のようなものであると説明します。
身体的な傷は時間と共に癒えるかもしれませんが、魂の傷は容易には癒えません。ソクラテスは、不正を行うことによって魂に傷を負うことは、不正を受けることによって身体的な苦痛を受けることよりも、はるかに深刻な問題であると主張します。
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魂の不死
「ゴルギアス」の中で、ソクラテスは輪廻転生や魂の不死といった、プラトンの思想において重要な概念についても触れています。ソクラテスは、死は魂が肉体から解放される瞬間であり、魂は死後も存在し続けると主張します。
さらに、生前の行いによって魂は裁かれ、来世においてふさわしい報いを受けるとソクラテスは説明します。このことから、ソクラテスは死を恐れるべきではなく、むしろ、魂の浄化のために徳を追求すべきだと主張するのです。