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ブローデルの地中海の主題

## ブローデルの地中海の主題

### ブローデルの地中海とは?

フェルナン・ブローデルの著書 “La Méditerranée et le Monde Méditerranéen à l’époque de Philippe II” (1949年) の日本語訳題。原題を直訳すると「フィリップ2世時代の地中海と地中海世界」となり、16世紀後半のスペイン王フィリップ2世の治世を中心に、地中海世界の歴史を描いた壮大な歴史書です。

### ブローデルの主張

ブローデルはこの本で、従来の歴史観とは異なる視点から地中海世界を捉え直しました。

### 地理的決定論

### 多層的な歴史叙述

ブローデルは歴史を以下の3つの層に分け、それぞれの層が相互に作用し合いながら歴史が形成されていくと説明しました。

* **地理的環境**: 地中海という温暖で穏やかな閉鎖的な海が、人々の生活様式や文化、歴史の展開に大きな影響を与えたと主張しました。山がちな地形と乾燥した気候、海による交通の便など、地理的要因が地中海世界の文明を規定したと説明しました。
* **社会経済構造**: 地理的環境を土台として、その上でゆっくりと変化する社会経済構造を分析しました。農業や牧畜、商業といった経済活動、都市と農村の関係、社会階層、家族構造など、長期間にわたって持続する社会構造に着目しました。
* **出来事**: 政治的事件や戦争、個人の活躍といった出来事は、歴史の表層に過ぎないとブローデルは考えました。これらの出来事は短期的には大きな影響を与えるように見えますが、長い歴史の流れの中ではさほど重要ではないと位置づけました。

### 全体史の試み

ブローデルは、政治や軍事といった従来の歴史の中心的なテーマだけでなく、経済、社会、文化、日常生活といった多様な側面から地中海世界を描き出すことを試みました。気候、地形、動植物といった自然環境から、人々の衣食住、宗教、芸術、貿易、技術といった多岐にわたるテーマを網羅することで、地中海世界を一つの全体として捉えようとしました。

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