ブルバキの数学原論を読んだ後に読むべき本
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エミール・アルティン著「代数学」
ブルバキの『数学原論』は、現代数学の基礎を厳密かつ抽象的に構築することを目指した壮大な書物です。その徹底した公理主義と抽象的な扱いは、数学を学ぶ者にとって非常に魅力的である一方、その難解さゆえに読破するだけでも大変な労力を要します。そこで、『数学原論』を読み終えた後に、その抽象的な理論を具体的な問題に応用していくための橋渡しとなるような本が必要となります。
エミール・アルティンの『代数学』は、まさにそのような役割を果たすのに最適な書物と言えるでしょう。アルティンは20世紀を代表する数学者の一人であり、抽象代数学の分野に多大な貢献をしました。彼の著書である『代数学』は、ガロア理論を中心とした代数学の基礎を、具体的で分かりやすい例を交えながら解説しています。
本書の特徴は、抽象的な概念を導入する際に、具体的な例や問題を通して読者の理解を助ける点にあります。例えば、群の概念を説明する際に、正方形の対称性を例に挙げ、回転や鏡映といった操作が群の公理を満たすことを示しています。このような具体的な例を通して、抽象的な概念をより深く理解することができます。
また、『代数学』は、ガロア理論を学ぶための最良の入門書としても知られています。ガロア理論は、方程式の解の構造を調べるための美しい理論であり、現代数学においても重要な役割を果たしています。アルティンは、ガロア理論の歴史的な背景から丁寧に解説し、読者が無理なく理解できるように工夫しています。
『数学原論』で抽象的な数学の基礎を学んだ後、『代数学』を読むことで、具体的な問題に応用していくための方法を学ぶことができます。また、ガロア理論のような美しい理論に触れることで、数学の奥深さを改めて実感することができるでしょう。