ブルデューの社会学の社会学の対極
パーソンズの構造機能主義
タルコット・パーソンズは、20世紀半ばにアメリカの社会学を代表する理論家の一人であり、その構造機能主義は、ブルデューの社会学とは対照的な視点を提供しています。
ブルデューが社会を権力闘争の場と捉え、社会的不平等や支配の構造に焦点を当てているのに対し、パーソンズは社会を、それぞれが特定の機能を果たすことで全体としての秩序と安定を維持する、相互に関連する部分からなるシステムとして理解しようとしました。
パーソンズの構造機能主義は、社会の統合と合意を重視し、社会の構成員が共有する価値観や規範が、社会秩序の維持に重要な役割を果たすと考えました。彼は、社会化を通じて個人が社会の価値観や規範を内面化し、その結果として社会システムが円滑に機能すると主張しました。
パーソンズの主要な著作である『社会体系論』(1951年)では、社会システムを構成する四つの基本的な機能として、適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持を挙げ、それぞれの機能を果たすための特定のサブシステムが存在するとしました。
彼の理論は、社会の安定性や秩序を説明する上では一定の有効性を持ちますが、社会における権力関係や不平等を軽視しているとの批判もあります。ブルデューは、パーソンズの構造機能主義を、支配的なイデオロギーを再生産する役割を果たす、保守的な理論として批判しました。