ブラウンの帝国主義の経済学に影響を与えた本
J.A.ホブソンの「帝国主義研究」 (1902年)
J.A.ホブソンの「帝国主義研究」は、20世紀初頭の帝国主義的拡大に関する考察において極めて重要な作品であり、とりわけ経済学の側面からこの問題に鋭く焦点を当てています。本書で展開されたホブソンの分析は、後の時代の思想家たちに多大な影響を与え、その中には、帝国主義に関する重要なマルクス主義的解釈で知られるローザ・ルクセンブルクやウラジーミル・レーニンも含まれていました。しかし、ホブソン自身はマルクス主義者ではありませんでしたが、資本主義社会における経済的不平等と過剰な蓄積という問題に、その分析の根幹を置いていました。
ホブソンは、「帝国主義研究」の中で、帝国主義の推進力は、先進資本主義経済に内在する経済的要因、特に過剰な貯蓄と過少消費という相互に関連する問題にあると主張しました。彼によれば、富と所得の極端な集中は、資本主義社会の特徴であり、大衆の購買力の低下につながると論じています。その結果、資本家階級は国内で生産物を販売するのに苦労し、利潤率の低下に直面することになります。こうした過剰な資本と限られた国内投資機会という状況が、帝国主義的衝動の根本原因となります。
ホブソンは、資本主義国家が、国内の問題に対する解決策を、海外、つまり、より正確には、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの、発展途上地域への経済的・政治的支配の拡大に求めていると主張しています。新たな市場や投資機会の獲得は、過剰な資本を吸収し、過剰な生産物の販売先を提供し、低迷する利潤率を回復させるための手段となります。言い換えれば、帝国主義は、ホブソンの視点から見ると、資本主義体制の矛盾を一時的に解消するための手段であるものの、最終的には、国際的な対立と戦争の増加につながる、危険で搾取的な試みでした。
過剰な貯蓄と過少消費の問題を解決するための代替案として、ホブソンは、社会の富をより平等に分配することを提唱しました。彼によれば、賃金の引き上げ、社会福祉プログラムの拡大、累進課税の実施により、大衆の購買力を高め、国内需要を刺激し、帝国主義的拡大の必要性を減らすことができると考えていました。
ホブソンの「帝国主義研究」は、その出版以来、多くの賞賛と批判の的となってきました。彼の分析の複雑さと現代の出来事との関連性は、学者や政治活動家の間で活発な議論の的となっています。しかし、ホブソンの作品は、帝国主義に関する議論に重要な新たな視点を提供し、特に経済的要因に焦点を当て、帝国主義的野心の根底にある複雑な動機を理解するための枠組みを提供したことは間違いありません。彼の考えは、その後の帝国主義と世界経済に関する研究に影響を与え続け、資本主義、権力、不平等の間の複雑な関係について考察することを余儀なくされました。