フローベールの感情教育の構成
構成上の特徴
フローベールの「感情教育」は、伝統的な小説の構成要素である、時系列に沿ったプロットや明確な因果関係を持つ出来事の連鎖を重視せず、むしろ、主人公フレデリックの内的世界と、彼を取り巻く社会や歴史の描写を、複雑に織り交ぜる構成を採用しています。
時間構成
時間構成の特徴
物語は、1840年から1867年までの約30年間を舞台としていますが、時間の流れは必ずしも均等ではありません。作者は、重要な出来事が起こる時期を重点的に描き、それ以外の期間は省略したり、断片的 に描写したりしています。
反復と対比
反復と対比の特徴
作中では、類似した状況や人物配置が繰り返し現れ、時間の経過と変化を浮き彫りにしています。例えば、フレデリックが複数の女性と恋に落ちるエピソードは、彼の恋愛における未熟さや、理想と現実の乖離を際立たせる効果があります。
章構成
章構成の特徴
小説は、全部で三部構成となっており、各部はさらに複数の章に分けられています。各章は、必ずしも連続した時間軸に沿って配置されているわけではなく、場所や登場人物の視点が、しばしば章を跨いで転換します。これは、読者に、登場人物たちの内的世界や、複雑に絡み合う人間関係を、多角的に捉えさせる効果を生み出しています。