フローベールの感情教育に関連する歴史上の事件
七月王政と二月革命
フローベールの『感情教育』は、1840年代のパリを舞台に、七月王政の退廃から二月革命、そしてその後の第二共和政の樹立までの激動の時代を生きた青年フレデリックの、挫折と幻滅に満ちた半生を描いています。
七月革命でブルボン朝を倒し、オルレアン家のルイ・フィリップを国王に即位させた市民たちは、新たな時代への希望に燃えていました。しかし、彼らの期待は裏切られ、七月王政は腐敗と政治的停滞の時代へと変貌していきます。
ブルジョワジーの台頭と社会不安
七月王政期は、産業革命の影響もあり、ブルジョワジーと呼ばれる新興の資本家階級が台頭した時代でもありました。彼らは経済的な成功を収める一方、政治的な権力からは排除され、社会不安が高まっていきました。
小説では、フレデリックを含む登場人物たちの生き様を通して、当時のフランス社会に渦巻く欲望、野心、そして幻滅が鮮やかに描かれています。フレデリックは裕福なブルジョワの息子として何不自由ない生活を送っていますが、理想と現実のギャップに苦しみ、政治や芸術に情熱を燃やすも、結局は中途半端なまま終わってしまいます。
二月革命と第二共和政の成立
1848年2月、パリ市民の蜂起によってルイ・フィリップは退位し、第二共和政が成立します。人々は再び自由と平等を夢見たものの、その理想は長くは続きませんでした。
小説のクライマックスである二月革命の描写は、当時の混乱と熱狂を如実に伝えています。しかし、革命の熱狂が冷めやらぬうちに、社会は再び分裂と対立へと向かっていきます。
第二帝政への移行
結局、1851年にはルイ・ナポレオンによるクーデターが起こり、第二帝政が開始されます。こうして、フランスは再び authoritarian 体制へと逆戻りしていくことになります。
『感情教育』は、単なる恋愛小説ではなく、激動の時代を生きた若者たちの挫折と幻滅を通して、19世紀フランス社会の光と影を描き出した歴史小説としての側面も持ち合わせています。