フローベールのサランボーの関連著作
### ポリュビオス「歴史」
紀元前2世紀のギリシャの歴史家ポリュビオスによる「歴史」は、サランボーの舞台となった第一次ポエニ戦争（紀元前264-241年）を含む、地中海世界の歴史を網羅した書です。フローベールはこの書を綿密に研究し、作品の歴史的な背景や軍事戦略、当時のカルタゴの社会制度などに関する詳細な情報を収集しました。特に、傭兵の反乱に関する記述は、サランボーの物語の重要なインスピレーション源となっています。
### リウィウス「ローマ建国史」
紀元1世紀のローマの歴史家リウィウスによる「ローマ建国史」もまた、第一次ポエニ戦争を含むローマ史を扱っており、フローベールはサランボーの執筆にあたってこの書も参照しました。リウィウスの歴史叙述は、ポリュビオスに比べてローマ側の視点が強く、英雄的・劇的な色彩が濃い点が特徴です。フローベールは、リウィウスの文章スタイルから影響を受けたと考えられています。
### アッピアノス「ローマ史」
紀元2世紀のギリシャの歴史家アッピアノスによる「ローマ史」は、ローマの建国から共和制末期までの歴史を包括的に扱った書物です。この書には、第一次ポエニ戦争に関する記述も含まれており、フローベールはサランボーの執筆において、アッピアノスの記述も参考にしています。アッピアノスの「ローマ史」は、ポリュビオスやリウィウスの作品と比べて、簡潔で読みやすい文調で書かれている点が特徴です。
### ディオドロス・シクロス「歴史叢書」
紀元前1世紀のギリシャの歴史家ディオドロス・シクロスによる「歴史叢書」は、天地創造から紀元前1世紀までの世界史を扱った膨大な書物です。この書には、カルタゴの歴史や文化に関する記述も含まれており、フローベールはサランボーの執筆において、ディオドロスの記述も参照しました。ディオドロスの「歴史叢書」は、当時の様々な文化や民族に関する貴重な情報を提供しており、サランボーにおける異国情緒あふれる描写にも影響を与えていると考えられます。