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フローベールのサランボーの対極

フローベールのサランボーの対極

レフ・トルストイの「戦争と平和」

ギュスターヴ・フローベールの「サランボー」と対極に位置する作品として、レフ・トルストイの「戦争と平和」が挙げられます。 「サランボー」が古代カルタゴを舞台に、史料を丹念に積み上げて構築した異国情緒と官能的な描写に彩られた作品であるのに対し、「戦争と平和」は19世紀初頭のロシアを舞台に、ナポレオン戦争の渦中に生きた人々の生活と内面を、歴史の壮大な流れの中に織り込みながら、写実的に描き出した作品です。

対照的な二つの作品

「サランボー」は、史実をベースにしながらも、その細部は作者の想像力によって華麗に装飾され、エキゾティックで幻想的な世界が構築されています。一方、「戦争と平和」は、史実とフィクションを巧みに融合させながらも、歴史の真実と人間の生の真実を追求することに重点が置かれています。

「サランボー」の主人公であるサランボーは、カルタゴの司祭の娘であり、その美しさゆえに物語の中心となる存在ですが、どこか現実離れした神秘的な雰囲気をまとっています。一方、「戦争と平和」には、アンドレイ、ピエール、ナターシャといった、それぞれの苦悩や喜び、成長を経験する等身大の人間が登場し、読者は彼らの人生に深く共感することになります。

「サランボー」が、愛と復讐、暴力と狂気が渦巻く、濃密で閉鎖的な世界を描いているのに対し、「戦争と平和」は、戦争という極限状況を背景にしながらも、家族、友情、愛といった普遍的な人間の価値観を描き出し、広大な世界観を提示しています。

このように、「サランボー」と「戦争と平和」は、その舞台設定、テーマ、登場人物、文体など、あらゆる面において対照的な作品と言えるでしょう。

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