フローベールのサランボーの原点
フローベールの古代文明への関心
フローベールは若い頃から古代文明、特にギリシャ文化に強い関心を抱いていました。彼は膨大な古典文学を読み込み、古代の歴史や神話に精通していました。この古代世界への情熱は、後の「サランボー」執筆の大きな原動力となります。
カルタゴへの旅
1857年、フローベールは実際にチュニジアのカルタゴを訪れます。この旅は「サランボー」の構想に決定的な影響を与えました。彼は古代カルタゴの遺跡を自分の目で確かめ、街の雰囲気や人々の生活を肌で感じ取ろうとしました。
史料の綿密な調査
フローベールは「サランボー」の執筆にあたり、古代カルタゴに関する膨大な史料を渉猟しました。彼は古代の歴史書や碑文、考古学的な発見などを参考に、当時の文化、風俗、宗教、戦争などを可能な限り正確に再現しようと試みました。
ロマン主義の影響
フローベールは、19世紀前半にフランスで流行したロマン主義の影響も受けていました。ロマン主義は、感情、想像力、異国情緒などを重視する文学運動であり、フローベールは「サランボー」においても、壮大なスケールで古代世界の物語を描き出すとともに、登場人物たちの激しい情熱や愛憎劇を鮮やかに描写しています。