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フローベールのサランボーの力

フローベールのサランボーの力

サランボーの魅力:オリエンタリズムとスペクタクルの融合

ギュスターヴ・フローベールの歴史小説『サランボー』は、古代カルタゴを舞台に、ハンニバルの妹である架空の王女サランボーと、傭兵隊長マートの許されぬ恋を描いた作品です。出版当時、『サランボー』は批評家から賛否両論の評価を受けました。その理由は、作品が持つ独特の魅力と問題点にあります。

異国情緒と残酷描写の両極端

『サランボー』の魅力の一つは、その鮮烈な描写力にあります。フローベールは膨大な資料を読み込み、古代カルタゴの風俗、習慣、宗教儀式などを細部まで再現しました。エキゾチックな風景、豪華絢爛な衣装、残酷な戦闘シーンなどは、読者を古代世界へと誘う力を持っています。

史実と虚構の織りなす世界

フローベールは、史実に基づいた物語の中に、サランボーとマートの恋愛など、フィクションの要素を巧みに織り交ぜています。 この史実と虚構の融合が、作品に独特のリアリティと魅力を与えています。

オリエンタリズムの視点:西洋文学における東洋

一方で、『サランボー』は、西洋の視点から東洋を描いたオリエンタリズム文学の代表作として、批判の対象にもなってきました。作中に見られる東洋に対するステレオタイプな描写は、植民地主義時代の偏見を反映しているという指摘もあります。

サランボーが現代に問いかけるもの

『サランボー』は、出版から150年以上経った現代においても、その力強い描写力とドラマティックなストーリーで、多くの読者を魅了し続けています。作品が内包するオリエンタリズムの問題点を含め、歴史と文学の関係について考えさせる作品と言えるでしょう。

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