フロイトの精神分析入門の対極
### フロイトに対する代表的な批判:行動主義心理学の隆盛
フロイトの精神分析は、無意識の力動や幼児期の経験が人格形成に与える影響を強調し、20世紀初頭の心理学界に大きな影響を与えました。しかし、その理論の多くは、直接観察や測定が難しく、科学的な検証が困難でした。
### 行動主義:観察と測定可能な行動に焦点を当てる
こうした精神分析への批判の高まりとともに台頭してきたのが、ジョン・ワトソンやB.F.スキナーを代表とする行動主義心理学です。行動主義は、意識や無意識といった内的な状態ではなく、観察可能な行動とその環境との関係に焦点を当てました。
### ワトソンの行動主義宣言と古典的条件付け
1913年に発表されたワトソンの「行動主義者から見た心理学」は、心理学を自然科学の一分野として確立することを目指し、行動主義の基礎を築きました。彼は、パブロフの古典的条件付けの研究を人間にも適用し、恐怖症などの精神的な問題でさえ、条件付けによって学習された行動であると主張しました。
### スキナーのオペラント条件付けと行動分析
スキナーは、古典的条件付けに加えて、行動がその結果によって強化または弱化されるというオペラント条件付けの原理を提唱しました。彼は、行動分析と呼ばれる実験的方法を用いて、動物実験を通じて行動の法則性を明らかにしようとしました。
### 行動主義の広がりと精神分析への影響
行動主義は、その明確な定義と測定可能性から、心理学研究に大きな影響を与え、学習、動機づけ、言語習得など、幅広い分野で応用されました。精神分析は、行動主義の台頭により、その影響力を弱め、科学的な厳密さを欠くという批判にさらされることになりました。