## フレーベルの人間の教育の表象
表象とは何か
フレーベルは著作の中で「表象」という言葉を使用していますが、現代の私たちが用いる意味とは少し異なっています。フレーベルにとって「表象」とは、子供が内面にあるものを外部に表す活動全般を指します。それは、言葉、歌、遊び、身振り、そして様々な素材を使った造形など、多岐にわたります。
子供の内的世界の表現としての表象
フレーベルは、子供は生まれながらにして神性を内包しており、外界との関わりの中でそれを開花させていくと捉えていました。そして、子供は内面に湧き上がる衝動や考え、感情などを、表象活動を通して外に出すことで、自己を表現し、世界を理解していくと考えていました。
遊びと表象
フレーベルは、遊びを子供の最も純粋で精神的な活動とみなし、表象活動の中心に据えていました。子供は遊びを通して、自由に想像力を働かせ、創造的に表現することで、内面を豊かにし、自己を成長させていくと考えたのです。
恩物と作業
フレーベルは、子供の表象活動を促すために、独自の教材として「恩物」と「作業」を考案しました。「恩物」は、球や立方体などの基本的な形をした遊具で、子供が形や数、空間などの概念を具体的に理解することを助けました。「作業」は、紙を折ったり、切ったり、編んだりといった手作業を通して、子供の創造性や思考力を育むことを目的としていました。
表象活動の重要性
フレーベルは、子供の自由な表象活動を尊重し、大人が一方的に知識を教え込むのではなく、子供自身が内面から湧き上がるものを表現する過程を大切にしました。子供は表象活動を通して、自己を表現し、世界を理解し、他者とコミュニケーションをとる力を身につけていくと考えたのです。