## フッサールの純粋現象学および現象学的哲学の諸問題の表現
現象学という試み
エドムント・フッサールによって提唱された現象学は、意識と、意識における対象の現れ方を研究する哲学の一分野です。フッサールは、自然主義や心理学主義といった、当時の哲学における支配的な潮流に異議を唱え、意識の独自の構造と機能を明らかにしようとしました。
意識の指向性
フッサールの中心的な主張の一つに、意識は常に何かに向かって「志向」されているというものがあります。つまり、意識はそれ自身の中に閉じこもっているのではなく、常に何らかの対象を意図し、把握しています。この意識の指向性を、フッサールは「志向性」と呼びました。
現象学的還元
意識の構造を明らかにするため、フッサールは「現象学的還元」という方法を提唱しました。これは、自然な態度における、対象の存在に関するあらゆる前提を括弧に入れることで、意識に現れるがままの現象を純粋に見ることを目指すものです。
ノエマとノエシス
現象学的還元によって、意識現象は「ノエマ」と「ノエシス」という二つの側面から分析されます。ノエマは、意識に対して現れている対象の内容、つまり意味や価値といったものを指します。一方、ノエシスは、意識の働き、つまり知覚、想像、判断といった行為を指します。
超越論的主観性
フッサールは、現象学的還元によって、個々の経験を超えた普遍的な構造としての「超越論的主観性」に到達できると考えました。超越論的主観性は、あらゆる経験の可能性条件であり、あらゆる意味や価値の源泉となるものです。
現象学の諸問題
フッサールの現象学は、意識の研究に新たな道を切り開きましたが、同時に様々な問題点も指摘されています。例えば、現象学的還元の実行可能性や、超越論的主観性の概念の妥当性などです。これらの問題点は、現代の哲学においても議論が続いています。