## フォークナーの響きと怒りの構成
パート1：ベンジーの独白（1928年4月7日）
パート1は、知的障害を持つベンジーの視点で語られます。時間は前後し、ベンジーの意識の流れに沿って断片的で理解しにくい文章で描写されます。
ベンジーの独白は、主に彼の感覚的な経験と、彼の家族、特に妹のキャディへの執着によって構成されています。彼は過去の出来事、特にキャディの純潔の喪失と結婚、そして愛していた黒人の乳母ディルシーの死を断片的に追体験します。
パート2：クウェンティンの独白（1910年6月2日）
パート2は、ハーバード大学の学生であるクウェンティンの視点で語られます。このパートは、クウェンティンの自殺の前日に焦点を当てています。
クウェンティンは、南部の伝統と家族の没落に深く囚われています。彼はキャディの純潔への執着、近親相姦的な感情、そして変化を受け入れることの難しさに苦しんでいます。彼の独白は、時間と記憶が錯綜しており、ベンジーのパートよりも複雑な文章で書かれています。
パート3：ジェイソンの独白（1928年4月6日）
パート3は、コンプソンの長男で、冷酷で利己的なジェイソンの視点で語られます。
このパートは、他のパートよりも時間軸が明確で、客観的な視点で書かれています。ジェイソンは、家族の財産を管理し、キャディの私生児であるクウェンティンを憎んでいます。彼は金銭に執着し、他人を操り、自分の利益のために利用することに長けています。
パート4：ディルシーの視点（1928年4月8日）
パート4は、コンプソン家の黒人の家政婦であるディルシーの視点で語られます。
このパートは、三人称で書かれており、他のパートよりも直接的で明確な言語が使用されています。ディルシーは、コンプソン家の崩壊を目の当たりにし、特にベンジーとクウェンティンの面倒を見てきました。彼女は、家族の没落を悲しみ、それでもなお、彼らに対する愛情と忠誠心を持ち続けています。