フォークナーの町を読んだ後に読むべき本
ウィリアム・フォークナー著 アブサロム、アブサロム!
『フォークナーの町』を読み終え、フォークナー独特の語り口と複雑に絡み合った南部の歴史に魅了された読者にとって、『アブサロム、アブサロム!』は自然な流れで次に手に取るべき作品と言えるでしょう。この作品は、『響きと怒り』と並んでフォークナーの最高傑作と評されることも多く、その複雑な構成と重厚なテーマは、読者に更なる挑戦と深い文学的体験を提供します。
『アブサロム、アブサロム!』は、南北戦争前のミシシッピ州を舞台に、トーマス・サトペンという野心的な男の栄光と没落、そしてその一族の悲劇的な運命を描いた作品です。サトペンは、自らの手で財産と地位を築き上げようとしますが、その過程で奴隷制や人種差別といった南部の負の歴史に深く関わっていくことになります。物語は、サトペンの義理の息子であるクェンティン・コンプソンとそのルームメイトであるシュリーヴが、断片的な情報や伝聞をもとに、過去の事件をパズルのように組み立てていくという構成を取っています。
『フォークナーの町』で描かれたヨクナパトーファ郡の複雑な人間関係や歴史的背景は、『アブサロム、アブサロム!』において更に深化し、読者を圧倒的な物語世界へと引き込みます。複数の語り手による語りの交錯、時間軸を行き来する複雑な構成、そして南部の歴史と人種問題に対する深い洞察は、フォークナー文学の真髄に触れることができる貴重な体験となるでしょう。