フォークナーのアブサロム、アブサロム！の話法
語り手
「アブサロム、アブサロム！」は、全知の語り手によって語られるのではなく、複数の語り手がそれぞれの視点から物語を語るという、複雑な語り structure を持っています。
語り手の変化
主な語り手は、ローザ・コールドフィールド、クエンティン・コンプソン、そのルームメイトであるシュリーヴ・マッキャノンです。それぞれの語り手は独自の視点、偏見、解釈を持っており、断片的な情報を提示することで、読者は次第に事件の全体像を把握していきます。
時間の流れ
物語の時間軸は、過去と現在を行き来します。語り手たちは、自分の記憶や推測、他の登場人物から聞いた話を交えながら、サトペンの家族史を紐解いていきます。この複雑な時間の流れは、読者に混乱と興味を与える一方で、歴史の解釈の曖昧さを浮き彫りにします。
意識の流れ
フォークナーは、登場人物の意識の流れを表現するために、自由間接話法や内部独白を駆使しています。特にクエンティンとシュリーヴの会話では、彼らの思考が切れ目なく流れ込み、現実と想像、過去と現在が入り混じります。
修辞技法
フォークナーは、比喩、象徴、イメージなどを駆使し、登場人物の心理状態やテーマを表現しています。例えば、サトペンの屋敷は、彼の野心と没落を象徴しています。また、長い文章や複雑な構文は、語り手の混乱や葛藤を反映しています。