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フォークナーのアブサロム、アブサロム!の発想

フォークナーのアブサロム、アブサロム!の発想

聖書の「サムエル記」との関連性

「アブサロム、アブサロム!」というタイトルは、旧約聖書の「サムエル記」に登場するアブサロムの物語から直接着想を得ています。「サムエル記」では、アブサロムはダビデ王の息子であり、美貌と野心を持つ人物として描かれています。アブサロムは、自身の異母兄弟アムノンを殺害した後、反乱を起こして父ダビデ王の王座を奪おうとします。しかし、最終的にはダビデ王軍に敗北し、悲劇的な死を迎えます。

作品内における「アブサロム」像

フォークナーの小説では、トーマス・サトペンという野心的な男が、南北戦争後の南部の社会で名声と富を築き上げようとします。サトペンは、自分の野望を実現するために、手段を選ばない冷酷な一面を見せ、周囲の人間を不幸に陥れていきます。彼のこの姿は、自身の野望のために父親に反逆した聖書の登場人物アブサロムと重なります。

「アブサロム、アブサロム!」という嘆きの反復

「サムエル記」の中で、ダビデ王は反乱を起こした息子アブサロムの死を聞いたとき、「我が子アブサロムよ、アブサロム、我が子、我が子よ」と嘆き悲しみます。この嘆きの言葉は、フォークナーの小説内でも重要なモチーフとして繰り返し登場します。サトペンの野望がもたらした悲劇を目の当たりにした人々は、彼の没落を嘆き、その様は「アブサロム、アブサロム!」というダビデ王の嘆きと重なります。

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