フォークナーのアブサロム、アブサロム!の企画書
企画名
アブサロム、アブサロム!
執筆背景
* 1936年2月、フォークナーは前作『アブサロム、アブサロム!』の執筆を完了した。
* フォークナーはこれまでに『サートリス家の人々』(1931)、『響きと怒り』(1929)など、南部の歴史と家族の崩壊をテーマにした作品を発表し、高い評価を得ている。
構想
* 過去の断片的な物語を通じて、南北戦争以前のミシシッピ州を舞台に、トーマス・サトペンの生涯と、彼が築き上げようとした崩壊した王朝を描く。
* 語り手は複数存在し、それぞれが独自の視点と解釈でサトペンの物語を語る。
* 時間軸は複雑に交差し、読者はパズルのピースを組み合わせるように物語を理解していくことになる。
登場人物
* **トーマス・サトペン:** 物語の中心人物。貧しい出自ながら野心と才覚を駆使し、富と地位を築き上げる。しかし、その過去には暗い秘密が隠されている。
* **クウェンティン・コンプソン:** 物語の語り手の一人。サトペンの過去に執着し、その真実を解き明かそうとする。
* **ローザ・コールドフィールド:** サトペンに生涯を翻弄される女性。サトペンへの愛と憎しみを抱きながら、彼に関する物語を語り継ぐ。
* **ヘンリー・サトペン:** トーマスの息子。父との確執を抱え、悲劇的な運命をたどる。
テーマ
* **過去と現在:** 過去の出来事がいかに現在に影響を及ぼすのか、世代を超えて受け継がれる負の遺産を描く。
* **人種と階級:** 南部社会における人種差別と階級社会の矛盾、その歪みの中で生きる人々の葛藤を描く。
* **家族の崩壊:** 愛と憎しみ、欲望と裏切りが渦巻く家族の崩壊と、その影響を受けた人々の心の闇を描く。
作風
* フォークナーの特徴である、意識の流れ、複雑な文体、時間軸の交錯を駆使した実験的な手法を用いる。
* 南部独特の言葉遣いや方言を織り交ぜ、物語の世界観を構築する。
* 読者に解釈の余地を残す、多義的な表現を用いる。