フォークナーのアブサロム、アブサロム！
登場人物の語りを通して物語が展開される点について解説
「アブサロム、アブサロム！」は、ミシシッピ州ヨクナパトーファ郡を舞台に、旧家のコンプソン家とサトペン家の興隆と衰退を描く物語です。特徴的なのは、登場人物の一人称視点で語られるという点です。この手法により、読者はそれぞれの視点から事件や人物を解釈することになり、多角的な視点から物語を捉えることができます。
時間軸が複雑に交錯する点について解説
フォークナーの作品ではしばしば見られる特徴ですが、「アブサロム、アブサロム！」でも時系列が複雑に交錯します。過去と現在が入り混じり、登場人物の記憶や語りを通して物語が再構成されていきます。読者は、断片的な情報をつなぎ合わせ、時間軸を整理しながら、物語の全体像を把握していくことになります。
旧南部の崩壊と、それに翻弄される人々の姿が描かれている点について解説
南北戦争とその後の南部社会の変容は、フォークナー作品の重要なテーマです。「アブサロム、アブサロム！」でも、サトペン家の栄光と没落、人種差別や階級社会の問題を通して、旧南部の崩壊とその中で生きる人々の葛藤が描かれています。