フィヒテの全知識学の基礎の企画書
【構想名】
フィヒテの全知識学の基礎
【目的】
従来の認識論、とりわけカント哲学の認識論が抱える問題点を克服し、哲学に確固たる基礎を与えることを目的とする。カント哲学は、物自体という概念を導入することで認識の限界を指摘したが、物自体が認識の範囲外にあるとしながらも、それが認識に影響を与えるとした点で矛盾を抱えている。そこで本書では、物自体という外在的な根拠に依存することなく、意識の内的活動から認識の起源と妥当性を導き出すことを試みる。
【構成】
本書は、以下の三部構成を予定している。
* 第一部: 我々が何かを認識するためには、まず「我々が認識する」という事実そのものを認識する必要がある。この自己意識を起点として、認識の必然的な構造を明らかにする。
* 第二部: 自己意識は、それ自身の中に対象を規定する活動である。この活動を通して、我々は外部世界を含むあらゆる対象を構成していく過程を分析する。
* 第三部: 自己意識の活動は、無限の進歩を伴う。自己意識は常に自己限定を行いながら、より高次の自己意識へと向かう。この無限性こそが、人間の自由と道徳性の根拠となる。