ピレンヌのベルギー史の技法
史料批判に基づいた実証主義
ピレンヌは、ランケに代表される19世紀後半の歴史学の潮流であった史料批判に基づいた実証主義を重視しました。一次史料を徹底的に批判的に吟味し、そこから歴史的事実を客観的に構築することを目指しました。
社会経済構造への着目
ピレンヌは、政治史や事件史に偏りがちな従来の歴史叙述を批判し、社会経済構造に着目した歴史叙述を展開しました。 彼は、経済活動や社会構造の変遷が歴史の大きな流れを規定すると考え、ベルギー史を社会経済史の視点から描き出しました。
長期的な歴史の流れの重視
ピレンヌは、短期的・断片的な歴史記述ではなく、長期的な歴史の流れを重視しました。 彼は、古代から現代に至るまでの長い歴史の中で、ベルギーがどのように形成され、変容してきたのかを明らかにしようとしました。
比較史的方法の導入
ピレンヌは、ベルギー史をヨーロッパ全体の文脈の中に位置づけるために、比較史的方法を積極的に導入しました。 彼は、フランスやドイツなど周辺諸国との比較を通じて、ベルギー史の独自性と共通性を明らかにしようとしました。