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ピグーの厚生経済学を読んだ後に読むべき本

ピグーの厚生経済学を読んだ後に読むべき本

アマルティア・セン『不平等の経済学』

ピグーの厚生経済学は、政府の介入による福祉の最大化という概念を提唱し、後の経済学に多大な影響を与えました。彼の考えは、市場の失敗を修正し、社会全体の幸福を向上させるための理論的根拠を提供しました。しかし、ピグーの理論は、その後の経済学者たちによって、いくつかの点で批判されるようになります。

その中でも特に重要なのが、アマルティア・センの貢献です。センは『不平等の経済学』の中で、ピグーの功利主義的なアプローチが抱える問題点を指摘し、福祉の概念を拡張しました。ピグーは、個人の効用を単に合計することによって社会全体の福祉を測定できると考えていました。しかし、センは、人々の持つ能力や自由、機会の不平等が福祉に与える影響を考慮する必要があると主張しました。

センは、飢饉や貧困などの社会問題を分析する際に、所得の不平等だけでなく、人々のエンタイトルメント(権利)や能力に焦点を当てました。彼は、飢饉は食糧不足だけでなく、特定の社会集団が食糧へのアクセスを奪われることによって発生すると指摘しました。これは、ピグー的なアプローチでは見過ごされてしまう視点です。

『不平等の経済学』は、ピグーの厚生経済学を批判的に検討し、より包括的な福祉の概念を提示しています。センの分析は、現代の社会問題を理解し、より公正で平等な社会を実現するために不可欠な視点を提供しています。ピグーの理論を学んだ読者は、センの著作を読むことによって、福祉経済学の進化と現代社会におけるその意義をより深く理解することができます。

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