ピグーの厚生経済学の表象
ピグーの厚生経済学における「経済的厚生」の表象
アーサー・セシル・ピグーは、その主著『経済学の福祉』(1920年) において、厚生経済学の体系化を試み、後代の経済学者に多大な影響を与えました。ピグーは、功利主義の倫理に基づき、「経済的厚生」と「国民経済所得」の概念を用いて、国家による介入を含む経済政策の是非を論理的に考察しました。
「経済的厚生」と「国民経済所得」の関連性
ピグーは、「経済的厚生」を「貨幣で測定可能な経済的な満足」と定義し、それを「国民経済所得」と結び付けました。「国民経済所得」とは、国民全体の経済的な豊かさの指標となるものであり、ピグーは「経済的厚生」の変化を「国民経済所得」の変化によって測定できると考えました。
「限界効用逓減の法則」と所得分配
ピグーは、「限界効用逓減の法則」に基づき、所得の限界効用は所得水準が低いほど高く、高いほど低いと考えました。このことから、富裕層から貧困層への所得再分配は、社会全体の効用を高め、「経済的厚生」を増進すると主張しました。
市場の失敗と政府介入の根拠
ピグーは、市場メカニズムは必ずしも効率的ではなく、「外部経済効果」や「独占」などの市場の失敗が存在すると認めました。そして、政府が介入し、税金や補助金などの政策を通じて市場の失敗を是正することで、「経済的厚生」を改善できると主張しました。
「ピグー税」
「外部経済効果」に対しては、政府が「ピグー税」を課すことで、市場メカニズムを通じて社会的に最適な資源配分を実現できると主張しました。「ピグー税」は、企業の生産活動によって生じる外部費用を internalize することを目的とした税金です。