ピグーの厚生経済学の企画書
1. 書籍名
経済福祉の経済学
2. 執筆の背景と目的
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、資本主義経済は著しい発展を遂げましたが、同時に貧富の格差の拡大や環境問題など、さまざまな社会問題も顕在化してきました。
これらの社会問題の解決策として、政府の役割や介入の是非をめぐる議論が活発化しています。
このような状況を踏まえ、本書は経済学の立場から社会全体の福祉（well-being）を最大化するための理論的枠組みを提供することを目的とします。
具体的には、個人や企業の経済活動を分析するだけでなく、政府の政策が社会全体の福祉に及ぼす影響を分析するための経済学的ツールを開発します。
3. 本書の内容
本書は全3部で構成され、以下のような内容を扱います。
第一部：厚生経済学の基礎
まず、経済学における「厚生（welfare）」の概念を明確化し、それをどのように測定するかという問題について考察します。
次に、パレート最適や限界効用逓減の法則といった厚生経済学の基本的な概念や分析ツールを導入します。
第二部：市場の失敗と政府の役割
現実の経済においては、外部経済効果や公共財の存在など、市場メカニズムが適切に機能しない場合があります。
このような「市場の失敗」が生じる場合、政府による介入が社会全体の福祉を改善する可能性があります。
本書では、代表的な市場の失敗とその経済的な帰結について詳しく解説し、政府による適切な政策介入のあり方について考察します。
第三部：福祉の経済学
最後に、所得分配の問題や租税政策が社会全体の福祉に及ぼす影響について考察します。
所得格差や貧困問題といった社会問題に対し、政府がどのような政策手段を用いるべきかを、経済学の観点から分析します。
4. 本書の構成
本書は全10章で構成され、各章のタイトルは以下の通りです。
* 第1章：序論
* 第2章：厚生の概念
* 第3章：パレート最適
* 第4章：市場の失敗：外部経済効果
* 第5章：市場の失敗：公共財
* 第6章：政府の役割
* 第7章：所得と厚生
* 第8章：所得分配と政策
* 第9章：租税
* 第10章：結論
5. 本書の対象読者
本書は、経済学を専攻する学生や経済学者だけでなく、政治家や官僚、ジャーナリスト、そして社会問題に関心を持つすべての人々を対象読者として想定しています。
本書は、専門的な知識がない読者にも理解できるよう、平易な文章で解説することを心がけています。
また、豊富な事例や図表を用いることで、読者の理解を深めることを目指します。