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ピグーの厚生経済学に影響を与えた本

ピグーの厚生経済学に影響を与えた本

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影響

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アーサー・セシル・ピグーの経済思想、特に彼の代表作である「経済厚生論」に多大な影響を与えた本は、ヘンリー・シジウィックの「倫理学の方法」 (1874年) です。ピグー自身もシジウィックを「師」と呼び、その影響力の大きさを認めています。

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倫理学の方法について

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「倫理学の方法」は、功利主義の伝統に立ちながら、道徳哲学の体系的な分析を試みた著作です。シジウィックは本書において、功利主義の基礎を再検討し、道徳判断の基準としての「最大多数の最大幸福」という原則を擁護しました。

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ピグーへの影響

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シジウィックの功利主義思想は、ピグーの厚生経済学の根幹をなすものとなりました。ピグーは、経済学の目的は社会全体の福祉を向上させることにあると主張し、その指標として「国民所得」を採用しました。

シジウィックの影響は、ピグーが政府の介入を積極的に評価した点にも見て取れます。ピグーは、市場メカニズムは必ずしも効率的な資源配分をもたらすとは限らず、外部経済効果や所得格差など、市場の失敗を是正するために政府が介入する必要性を説きました。これは、最大多数の最大幸福を実現するために政府が積極的な役割を果たすべきだとするシジウィックの思想と深く共鳴しています。

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具体的な例

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ピグーの代表的な主張である「ピグー税」は、シジウィックの影響を色濃く反映したものです。これは、工場の排煙など、負の外部経済効果をもたらす経済活動に対して課税することで、社会全体の福祉を向上させようという考え方です。これは、個人の自由をある程度制限することで、より大きな幸福を実現しようという功利主義的な発想に基づいています。

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結論

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シジウィックの「倫理学の方法」は、ピグーの厚生経済学に多大な影響を与えただけでなく、20世紀の経済学全体にも大きな影響を与えたと言えます。ピグーは、シジウィックの功利主義思想を経済学に取り入れることで、経済学を単なる「経済活動の分析」から「社会全体の福祉を追求する学問」へと発展させたのです。

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