ピグーの厚生経済学と時間
時間の概念
ピグーの厚生経済学において、時間は資源配分や経済政策の効果を評価する上で重要な要素として認識されていませんでした。ピグーは主に静的な均衡分析を用いており、時間の経過に伴う経済主体行動の変化や不確実性については深く考察していませんでした。
資本蓄積と時間
ピグーは資本蓄積の重要性を認識していましたが、そのプロセスにおける時間を明示的には考慮していませんでした。彼は、資本の増加が生産性を向上させ、経済全体の厚生を高めると主張しました。しかし、資本蓄積には時間がかかること、そしてその過程で技術進歩や選好の変化が生じる可能性については深く論じていません。
割引率と世代間衡平
ピグーの厚生経済学は、将来世代の厚生を考慮する際に割引率を用いるべきかどうかという問題に明確な答えを提供していません。彼は、将来世代の効用を現在の世代の効用と同じように扱うべきだと主張しましたが、時間の経過に伴う効用の割引については明言を避けています。
結論
ピグーの厚生経済学は、静的な枠組みの中で資源配分と経済政策を分析することに焦点を当てており、時間の概念を十分に組み込んでいませんでした。現代の経済学では、時間の経過に伴う経済主体の行動変化や不確実性、世代間衡平などを考慮した動学的な分析が主流となっています。