ヒルファーディングの金融資本論を読む前に
マルクスの資本論を読む
ヒルファーディングの『金融資本論』は、マルクスの『資本論』を土台として書かれたものです。マルクスが『資本論』で展開した資本主義経済の分析、特に剰余価値論や資本蓄積論を理解しておくことは、『金融資本論』を理解するために不可欠です。
具体的には、『資本論』の第一巻から第三巻までを一通り読んでおくことをお勧めします。第一巻では、資本主義経済の基本的な仕組みである商品、貨幣、資本について、第二巻では資本の回転と再生産について、第三巻では利潤、利子、地代といった分配関係についてそれぞれ解説されています。
19世紀後半から20世紀初頭の資本主義を理解する
ヒルファーディングは、マルクスの理論を基に、19世紀後半から20世紀初頭にかけて起こった資本主義の新たな発展段階を分析しようとしました。この時期は、独占資本主義の形成期であり、重化学工業化や国際的な資本輸出、帝国主義の台頭といった特徴が見られました。
この時期の歴史的背景を理解しておくことで、『金融資本論』でヒルファーディングが何を問題意識としていたのか、どのような現実を分析しようとしていたのかをより深く理解することができます。
金融資本の基礎知識を身につける
『金融資本論』の主題である「金融資本」とは、銀行資本と産業資本の融合によって生み出される新たな形態の資本のことです。ヒルファーディングは、銀行が産業資本に対して行う信用供与を通じて、資本主義経済全体を支配するようになる過程を分析しました。
『金融資本論』をスムーズに読み進めるためには、銀行、信用、株式、債券といった金融の基本的な知識を事前に身につけておくことが役に立ちます。