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ヒルファーディングの金融資本論の評価

## ヒルファーディングの金融資本論の評価

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貢献

ヒルファーディングの『金融資本論』(1910年)は、マルクスの『資本論』を土台に、資本主義の新たな段階として「金融資本」の支配を分析した著作として、経済学史上に重要な位置を占めています。

ヒルファーディングは、銀行による産業資本の支配と、その結果として生じる「金融資本」の形成過程を詳細に分析しました。彼は、銀行が企業への融資を通じて企業の経営に介入し、支配権を握っていく過程を明らかにしました。また、銀行間の競争が、企業の合併・集中を促進し、巨大な金融資本を生み出すメカニズムを解明しました。

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限界

一方で、『金融資本論』は、以下のような限界も指摘されています。

* **帝国主義の経済的分析の不足:** ヒルファーディングは、金融資本の支配が帝国主義に結びつくことを指摘しましたが、その具体的なメカニズムについては十分に解明していません。
* **金融資本の安定性に対する過大評価:** ヒルファーディングは、金融資本が資本主義を安定させる役割を果たすと考えましたが、実際には、1929年の世界恐慌など、金融資本主義は深刻な危機を引き起こす可能性も孕んでいます。
* **労働者階級の役割の過小評価:** ヒルファーディングは、金融資本主義においても、労働者階級が主要な変革主体となると考えましたが、実際には、労働者階級の組織化は困難さを増し、金融資本に対する効果的な対抗勢力とはなりえませんでした。

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影響

上記のような限界はあるものの、『金融資本論』は、その後のマルクス経済学、特に帝国主義論や国家独占資本主義論に大きな影響を与えました。レーニンの『帝国主義論』、ブハーリンの『帝国主義と世界経済』など、多くの後続研究が、『金融資本論』の分析枠組みを継承・発展させています。

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