ヒルファーディングの金融資本論の表象
金融資本概念の表象
ヒルファーディングは、資本主義の発展段階において、銀行資本と産業資本の融合を通じて「金融資本」が支配的な形態となると論じました。彼の金融資本概念は、単なる貨幣資本や銀行資本の延長線上にはなく、産業資本と不可分に結びついた、より高度で複雑な資本形態として描かれています。
株式会社の役割
ヒルファーディングは、株式会社の普及が金融資本を生み出す重要な要因だと考えました。株式会社は、所有と経営の分離を通じて、巨大な資本集中と支配を可能にするからです。そして、巨大化する産業資本は、その資金調達や運用において、銀行資本への依存を強めていきます。
銀行の支配力
金融資本主義において、銀行は単なる資金仲介機関を超えて、産業に対する支配力を持ち始めます。銀行は、企業への融資を通じて、その経営に介入し、生産活動に影響力を行使することが可能になります。また、銀行は、保有する株式を通じて、企業の支配権を獲得することもできます。
カルテル・トラスト・コンツェルン
金融資本は、競争の激化を抑制し、利潤率を確保するために、カルテル、トラスト、コンツェルンといった独占形態を生み出すとヒルファーディングは指摘します。これらの独占体は、市場支配力を利用して、価格操作や生産制限を行い、超額利潤を獲得しようとします。
国家独占資本主義への移行
ヒルファーディングは、金融資本の発展が、最終的に国家独占資本主義へと移行すると予測しました。国家が、巨大な独占資本と結びつき、経済活動に積極的に介入することで、資本主義は新たな段階に入ると考えたのです。