## ヒルファーディングの金融資本論の発想
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マルクス経済学の継承と発展
ルドルフ・ヒルファーディングの主著『金融資本論』(1910)は、カール・マルクスの資本論を理論的に継承・発展させようとした試みでした。特に、マルクスが分析しきれなかった19世紀後半以降の資本主義の新たな段階を、
「金融資本」という概念を用いて解明しようとした点が画期的でした。
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金融資本の登場と資本主義の変容
ヒルファーディングは、19世紀後半以降、銀行による企業への融資が拡大し、銀行が単なる仲介機関を超えて、産業資本と密接に結びつくことで、
新たな資本形態である「金融資本」が支配的な地位を占めるようになったと分析しました。そして、この金融資本の登場が、資本主義を新たな段階、すなわち「金融資本主義」へと移行させたと考えました。
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金融資本による資本集中と独占の形成
ヒルファーディングは、金融資本が巨大な資本力を背景に、企業合併や買収を促進し、資本集中を推し進めると主張しました。そして、この資本集中が、
カルテルやトラストといった独占組織を生み出し、自由競争を制限すると分析しました。
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帝国主義への発展
さらに、ヒルファーディングは、金融資本主義においては、資本輸出が活発化し、列強による植民地獲得競争が激化すると指摘しました。そして、この帝国主義的な
対立が、国際的な緊張を高め、戦争の危機を招くと警告しました。
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資本主義の矛盾と崩壊の可能性
ヒルファーディングは、金融資本の支配による資本集中と独占の深化は、資本主義社会における矛盾をさらに深刻化させると考えました。そして、その結果として、
資本主義は必然的に崩壊し、社会主義へと移行するというマルクスの歴史観を継承しました。
ヒルファーディングの『金融資本論』は、マルクス経済学の重要な発展として、後の社会主義運動や経済学に大きな影響を与えました。特に、金融資本の支配や
帝国主義の分析は、今日においても重要な示唆を与え続けています。