## ヒルファーディングの金融資本論の感性
ヒルファーディングの主著『金融資本論』は、その論旨の緻密さとともに、独特の感性が織り込まれている点が特徴です。 彼の感性を分析するにあたって、注意すべきは
第一に、歴史と理論の密接な関係性
です。 マルクス経済学の優れた継承者であったヒルファーディングは、資本主義の運動法則を歴史的な発展段階に即して解明しようとしました。 単なる抽象的な理論構築に留まらず、
第二に、現実の資本主義経済への深い洞察力
が随所に示されています。 特に、19世紀末から20世紀初頭にかけてのドイツ資本主義の様相、とりわけ銀行資本の巨大化と産業資本への支配力の増大を鋭く分析しており、
第三に、そこから導き出される未来への強い危機意識
が彼の感性を特徴づけています。 金融資本による支配の深化は、資本主義を新たな段階、すなわち「組織された資本主義」へと移行させると同時に、深刻な矛盾と危機を孕んでいるとヒルファーディングは考えました。