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ヒルファーディングの金融資本論の思想的背景

## ヒルファーディングの金融資本論の思想的背景

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マルクス経済学

ヒルファーディングの『金融資本論』は、カール・マルクスの経済学、特に『資本論』の影響を強く受けています。彼はマルクスの労働価値説、資本蓄積論、階級闘争論などを理論的な基礎としています。

特に重要なのは、マルクスの資本集中・集中論です。マルクスは、資本主義経済においては、競争の結果として資本が次第に少数の資本家へと集中していく傾向があると指摘しました。ヒルファーディングはこの考え方を発展させ、銀行による企業の支配や、カルテル・トラストといった独占形態の出現を通じて、資本主義が独占資本主義へと移行していく過程を分析しようとしました。

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ドイツ歴史学派

ヒルファーディングは、ドイツ歴史学派の経済学からも一定の影響を受けています。ドイツ歴史学派は、イギリス古典派経済学のような抽象的な理論構築よりも、歴史的な分析や具体的な制度の研究を重視する立場をとっていました。

ヒルファーディングは、ドイツ歴史学派の影響を受けて、金融資本主義の分析においても、具体的な歴史的過程や制度的な分析を重視しました。彼は、ドイツにおける銀行と産業界の密接な関係に着目し、銀行が単なる金融機関ではなく、産業資本の形成や企業経営に深く関与する存在となっていることを明らかにしました。

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オーストリア学派

ヒルファーディングは、オーストリア学派の経済学、特にオイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクの資本理論からも影響を受けています。ベーム=バヴェルクは、資本を生産要素の一つとして捉え、利潤を資本の生産性によって説明しようとしました。

ヒルファーディングは、ベーム=バヴェルクの資本理論を批判的に継承し、金融資本主義においては、資本が生産過程への投下を通じて利潤を生み出すだけでなく、金融取引を通じて利潤を生み出すようになっていると指摘しました。彼は、この金融取引を通じて得られる利潤を「創業者利潤」と呼び、金融資本主義における利潤獲得の重要な形態として位置づけました。

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