## ヒルファーディングの金融資本論の分析
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金融資本と銀行の支配力
ヒルファーディングは、1910年に出版した『金融資本論』の中で、資本主義の新たな発展段階として「金融資本」の支配を論じました。彼は、資本主義の発展に伴い、銀行が産業資本への融資を通じて巨大な資本を集中させ、経済全体に対する支配力を強めていると主張しました。銀行は、企業の株式を保有することで、単なる資金供給者を超えて、企業経営に直接介入するようになると彼は指摘しました。
ヒルファーディングは、この銀行による産業資本への支配を「金融資本の支配」と呼び、これが資本主義における新たな矛盾を生み出すと論じました。彼は、銀行は短期的な利益を追求するために、過剰な投資や投機を促進し、経済の不安定化を招くと主張しました。また、金融資本の支配は、少数の銀行家や資本家に富が集中し、社会的な不平等を激化させるとも論じました。
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企業の集中と独占
ヒルファーディングは、金融資本の支配が企業の集中と独占を促進すると論じました。銀行は、巨大な資本力を持つ大企業に対して優先的に融資を行うため、中小企業は競争に敗れ、市場から淘汰されていくことになります。その結果、市場は少数の巨大企業によって独占され、競争は制限され、経済全体の停滞を招くと彼は指摘しました。
彼は、この企業の集中と独占は、資本主義の必然的な帰結であると論じました。資本主義は、その本質として利潤の最大化を追求するため、企業は常に規模の拡大と競争の排除を目指すと彼は主張しました。そして、金融資本の支配は、この傾向をさらに加速させると結論づけました。
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帝国主義への発展
ヒルファーディングは、金融資本の支配が帝国主義へと発展すると論じました。彼は、国内市場が独占されると、資本は新たな投資先を求めて海外に進出すると主張しました。そして、金融資本は、政府と結びついて、植民地獲得や海外進出を積極的に推し進めると論じました。
ヒルファーディングは、帝国主義を「資本主義の最高段階」と呼び、資本主義の矛盾が最も先鋭的に現れる段階であると位置づけました。彼は、帝国主義は、列強間の対立を激化させ、最終的には世界大戦を引き起こすと予測しました。